晩秋の澄み切った青空の下で、年長組2クラスで男女混合リレーを楽しんでいました。
友達を応援する声が風に乗って職員室まで聞こえてきます。
運動会もそうですが、友達同士で競ったりする競争心も成長過程では大事なことです。競争というと、誤解を受けやすく、今はさすがにないと思いますが、かけっこをしてゴール直前で全員で手をつないでゴールをするという、子ども達の人格(心)を踏みにじった大人の変なある意味傲慢な上から目線の考えが、一時横行していた時がありました。
思えば、それだけ保育の世界で競争心を煽ったりすることへの誤った形での警鐘の証かもしれません。
本園は過度な競争心は保育の中ではしていません。これから冬になると縄跳びを出しますが、わざわざ室内にグラフなど何回跳べたといった数値や目標値は出しません。
何回も跳べることはもちろん素晴らしいことですし称賛に値します。何よりも子ども達の世界では誰もが認めるヒーロです。でもそれで充分だと思いますし、子どもは自分が友達から認めてもらえることが何よりの誇りです。またそうした環境を作るのは保育者の役目です。子どもの世界にはそれぞれぞ一芸に秀でた子どもがいて、それぞれ一目置かれています。その価値は大人の価値観とは違う時がありますが、それはそれで問題ありません。なんといっても子ども達の世界です。
その子ども達が作りあげる価値観に大人の価値観を持ち込むと厄介ですし、下手をすると子ども達の世界が壊れかねません。
例えば、縄跳びが苦手で1回も跳べなかった子どもがはじめて跳べた1回は、100回跳べた子どもと回数こそ違いますが、価値は同じです。保育者は数字に囚われるのではなく、そうした子どものやる気や意欲を評価してあげることが大事です。数値化やグラフ等目に見える数字だけで判断すると、そうした子どもの気持ちが見えにくくなる危険があります。
競争は広義で考えると、人と競うというよりも自分の心との戦いです。その過程を保育者はきちんと見てあげ、寄り添いながら励ましたり応援してあげたいものです。
今年の運動会でもそうした場面がいくつか見られました。保護者の皆様の温かな応援と拍手に改めて深謝いたします。


- 2021/11/17(水) 18:49:17|
- 保育のひとこま
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