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園長ブタゴリラ☆ブログ

幼児教育に予算を

今晩はご覧通り固いお題です。
一昨日6月30日(日)にCRN(CHILD RESEARCH NET)が主催し、お茶の水女子大学が共催している研修に行きました。テーマは「日本の保育の課題と展望」についてです。場所は文京区にあるお茶の水女子大学です

内容は基調講演として秋田喜代美先生(東京大学教育学学研究科)がグローバル化の中で各国の保育への国の投資と保育の質についての最新の情報を話され、日本はOECD諸国の中で5歳児の保育への公費投入は最低に近く、子どもの貧困や世代を超えて貧困が受け継がれていくリスクを引き起こしている事、また保育の質について諸外国に比べ大規模な横断的な研究データがない(厚生労働省と文部科学省の2重行政)ため日本の保育と保育の質に関わるデータと子どものための育ちの成果がわかりにくいことを指摘されていました。日本ではかろうじて保育のデータはベネッセ教育総合研究所が民間でありながら、集めているようです。

「教育に予算を」というのは前述したことについてです。OECD諸国の中で教育にかける予算の割合が低いのは周知していましたが、データについては迂闊ながら初めて聞くことばかりでした。
保育の質をデータでどうやってはかるのかという思いをもたれる方も多いと思いますが、例えば2年前に「運動能力と園での保育」に関連して幼児期の運動の能力をデータ化して保育のあり方に一石を投じた調査があります。本園でも保護者の皆さんに手紙でお知らせしましたが、とても画期的なものであり、初めて幼児期の運動のあり方についてまとめた調査です。要は「自由遊びの時間が多い園ほどその園の園児の運動能力が高く、体育講師による教科的な一斉指導的な体育指導をしている園の園児のほうが運動能力は低い」という調査結果です。日本の幼児体育の第一任者の大学の先生がまとめました。私のように教育現場にいれば、日々の幼児の様子から十分納得できますが、一般の保護者の方から見れば小学校の教科としての体育から連想してしたほうが運動能力が高まると考えがちです。そういう誤解されがちな考えを振り替える意味でも、こうしたデータは大事です。現場にいれば幼児期の特性と自由遊びを通して全身運動をするほうが効果的なことは体験からもわかりますし、自由遊びですとそもそもマット運動や鉄棒運動で順番を待っている時間が必要ありません。

これは一例ですが私は保育の質を高める意味でも、そうした科学的なデータの集積も大事ではないかと思います。もちろんデータが絶対ではありませんし、個人差もあるのは重々承知です。また数字だけがひとり歩きしても困りますが、幼児教育の高い質を園児に還元するには園の保育の質を高めるのは言うまでもありません。人によっては園児数が質の高さの証拠になり、人気があるのはその園の保育の質が高い(人気がある)裏付けではないかと話す方もいますが、園児数とその園の保育の質は相関関係にあるとは言えません。子どもの入園を選ぶのは親であり、もちろん教育方針を考慮して選ぶ方もいますが、親のニーズが優先されがちです。また教育方針といっても幼児教育について前述した「幼児期の運動能力」ひとつとっても、保護者にはなかなか理解できにくいと思います。この責任は当事者である私たち幼稚園側も今までそうしたことについてなおざりにしてきたり、説明してこなかった責任があり、自省しなくてはいけません。私たち幼児教育のプロとして学びに行きたくなる保育の質の高い園は経験上、決して規模は大きくなく、どちらというと派手ではなく、むしろ地味な装いです。でも日本には子ども達が生活していくうえで、子どもと向き合える園がたくさんあり、それぞれに頑張っています。千葉県内にも複数あります。園児達はとても幸せだと思います。また大規模園ですとそもそも教職員と園児同士がお互いがわかったり、全園児一人ひとり把握するのは現実不可能です。
今後は少子化の中、今まで以上に園の保育の質が問われる時代が来ますし、個人的にも関心を持ったもらいたいと思います。
そういう観点からも幼児教育に国がお金をかけてほしいと思います。国家財政が厳しいのは承知していますが、文部科学書の予算は公共工事やその他の省庁の予算に比べたら本当に微々たるものです。他国がすでに国家戦略として教育(特に幼児教育)の重要性に気付き、動きだしている中、日本の取り組みの立ち遅れを知る機会にもなりました。資源がない日本では有為の人材の育成が国力に関わってきます。少子化でとかく甘やかされて育ちがちな子どもや子どもの自立や自律を見守れない(子どものけんかにすぐに口をはさむ親等)保護者が増える中、そうした親も子ども達の育ちを見ながら、ともに成長して欲しいと願っています。それは結果的には我が子への利益につながります。毎年、年長組の知能検査と保護者向けの親子関係テストをする中で、いま述べさせていただいたことは、年々気になり、懸念を感じる時があります。

またその後のシンポジウムでも5人の先生が「日本の保育の課題と展望」について話されました。
データからも現在の幼稚園、保育園は少子化の中で経営基盤が脆弱なため、運営に支障をきたしがちです。また人材が枯渇しがちで職員求人が困難を極める中、確保が大きな問題となっています。またそうした状況の中、当然教師の質も問われます。免許があれば誰でもというわけにも行きません。特に子どもたちと関わる人間同士のつきあいの中で影響は大きいと思います。そこにも日本の保育の質に関わる問題が指摘されます。

暗い話題ですが、日曜日の午後にもかかわらず、熱心に学ぶ人々で会場は立錐の余地もなく満員でした。老若男女様々で学生さんも混じっていました。私も休みの日はできる限り色々な研修会には行くように心がけていますが、行く度に熱心な人々の姿勢に勇気づけられます。こうした人たちが現場で孤軍奮闘している姿に日本の教育の明るい未来を感じます。帰途旧知の園長先生や大学の先生とお会いしたのも嬉しいひと時でした。

日本で最初にできた幼稚園は、1876年(明治9年)に開園した東京女子師範学校附属幼稚園(現在のお茶の水女子大学附属幼稚園)です。良い機会なので園の外側からですが、日本の幼稚園の発祥の地を見てきました。
但し園付近は撮影は遠慮くださいとのことで、写真でご紹介できないのが残念です。
2013-06-30 gakunai 012 (800x528)
  1. 2013/07/02(火) 23:57:54|
  2. 幼児教育への思い
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